プログラム
日程表
プログラム
大会長特別企画
沖縄県臨床工学技士会の歩みと今後の臨床工学技士の進む道とは
会 場:第1会場
日 時:1月14日(土) 13:30~14:30
座 長:大城 安(豊崎メディカルクリニック)
演 者:小田 正美(東亜大学医療学部 医療工学科 教授)
私は、1980年4月に琉球大学附属病院の人工透析室に採用されました。ご存じの通りその時代は、臨床工学技士という職種はないため人工透析技術員という医療職その他という俸給枠で働き始めました。資格がないために苦労したことがたくさんあり、免許を持たなくてもできる仕事はすべてこなさなければ自分の立場がなくなる時代でした。
沖縄県透析技師会の始まりは、亡き宮里正幸氏の呼びかけにより1983年頃、少人数の16名ほどで細々と集まりを開始しました。その後1987年臨床工学技士法が成立し翌年4月に施行されました。現任者救済のため5年間経過措置が設定されましたが沖縄では地理的問題、経済的問題や1施設での技士数が少ないために東京で行われた講習会にも参加できない人が多くいました。そこで1989年から1991年の3年間で一般社団法人沖縄県臨床検査技師会の協力を賜り現任者講習会を開催し、沖縄県の臨床工学技士免許者を多数誕生させました。その後1992年6月14日沖縄県臨床工学技士会を立ち上げ活動を開始し、2010年6月2日一般社団法人沖縄県臨床工学技士会を設立いたしました。
このような沖縄県臨床工学技士会の歩みを振り返りながら技士会活動から得られた経験をもとに現在の臨床工学技士会活動のあるべき方向性とは何か。また昨年度から始まった医師の働き方改革によって行われた業務内容の変遷を考え、業務に対する方向性や臨床工学技士としての進むべき道を皆様方と考えたいと思います。
基調講演
でーじ大事な告示研修 ちむどんどん!!
会 場:第1会場
日 時:1月14日(土) 14:30~15:30
座 長:豊川 賢次(みやざと内科クリニック)
演 者:大塚 紹(日本臨床工学技士会 常任理事)
私たちCEを取り巻く環境は大きく変化し、医療機器の高度化・複雑化する昨今の医療現場において,医療機器の専門職である我々CEの需要は年々高まっている。
そのような背景の中、2019年10月23日「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」が設置され、厚労省によるヒアリングが実施され、さまざまな議論がなされた。2021年5月21日に「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」が成立、2021年5月28日「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」が公布され、臨床工学技士法の改正がなされた。
2021年(令和3年10月1日):改正臨床工学技士法が施行され、公益社団法人日本臨床工学技士会は2021年10月より「臨床工学技士の業務範囲追加に伴う厚生労働大臣指定による研修(以下:告示研修)」を実施している。 私たちCEは専門性を活かし、“いのちのエンジニア”として新たな社会貢献を果たすことが重要であり、そのためにはCEが一丸となって未来を創造していかなければならない。そのために、私たちCE一人一人がすべきことは何か?今、直視すべきことは何か?職能活動とは?について、若干の私見を加え述べる。
沖縄県の医療機関における電波利用推進協議会
当院における携帯電話の利用ルール策定の考え方
会 場:第1会場
日 時:1月15日(日) 10:30~11:30
座 長:大城 安(豊崎メディカルクリニック)
演 者:仲松 晋也(ハートライフ病院)
携帯電話使用ルールの基本方針は「指針」を基に策定し、リスクを下げることに取り組み、許容できるリスクかを評価することを進めることで利用者(患者等)の利便性を高めることである。
1.「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針」を基にルールを策定する1)離隔距離を決める2)エリアごとのリスク評価をする3)使用ルール設定
・マナーの観点・個人情報4)使用ルールの周知5)メンテナンスをする。
・EMCに関する体制の充実臨床工学技士(CE)の責任は、携帯電話の電波の医療機器への影響をわかりやすく説明することであると考えている。機器性能の観点、電波の性質、影響の特徴を、病院管理者(医師、看護師責任者、事務責任者)に説明する。次に医療機器への影響調査、電波環境調査を行うことで離隔距離を決定する。その上で、エリア毎の医療機器使用状況を確認し、妥当なルールを提案する。病院管理者は、CEの提案の妥当性とマナー、個人情報の観点を考慮してルールを設定する。その後、独自の取り組みとして、周知方法を事務職員と協力し、ピクトグラムの作成を行った。運用のフェーズでは、CEはEMC管理者として、電波環境をメンテナンスし、リスクに変わりがないかを評価することになる。
2.利用者の利便性を考慮して、「リスクを下げる取り組みを継続した状態」で「リスクを許容する」決断が必要となる独自の取り組みとしては、指針と利用者の利便性を考慮し、離隔距離の15cmへの短縮し、使用場所を広げる活動を行ったことがある。重要な取り組みが2つある。
①利用者への分かりやすいピクトグラムで離隔距離の周知と遵守してもらえるようにすることと、電波環境調査および、利用者用のWiFiを設置することで携帯電話端末から出る電波強度を小さくなるようにリスクコントロールすること。
②発生しうる不具合の確認を行い、不具合発生事例において、一時的であり重篤な誤作動がないこと、距離を離すことで不具合が消失することを管理者と共有し、利便性とリスクを比較しリスクは許容範囲で利便性が大きいため、使用可能場所を広げる決断を病院管理者とともに行うことである。当院では、医療機器を多数使用するICUなどの区画でも使用可能にしたことで、コロナ下で面会制限になっているなかで、家族の声を聴かせるなどが可能となり、患者に良いサービスを提供できたと考えている。
教育セミナー
臨床工学技士の今と未来 ~世界に羽ばたく臨床工学技士~
会 場:第1会場
日 時:1月15日(日) 11:30~12:30
座 長:赤嶺 史郎(沖縄南部徳洲会病院)
演 者:本間 崇(日本臨床工学技士会 理事長)
学術共催セミナー1
透析用水製造装置に求められる性能と現状の課題
会 場:第1会場
日 時:1月15日(日) 9:30~10:30
座 長:豊川 賢次(みやざと内科クリニック)
講 師:小野 信行
(社会医療法人雪の聖母会 聖マリア教育・研修センター事務室 室長)
清浄化とは、透析療法に用いる透析用水・透析液に関し、化学物質の汚染、生物学的汚染がなく、且つ安全に治療を行うことのできるものとし、それらを作り出す装置の設計、管理方法を含め清浄化と定義されている。清浄化対策は、透析用水から透析液を作製し、透析液を透析器(透析濾過器等含む)やオンライン補充液に供給するまでのすべての過程において恒常的に清浄化を達成すること目的とする(※2016年版透析液水質基準達成のための手順書Ver1。01より引用)。
近年、オンラインHDF治療やI-HDF治療等のオンライン補充液を利用した治療が急速に普及し、透析液の水質管理は必要不可欠となっている。このような動向において、臨床現場の第一線で従事している臨床工学技士は、その専門知識を有するメディカルスタッフとして透析液の水質を担保する重要な役割を担っている。
透析用水の化学的汚染基準は厳格な管理が必要として12項目が規定されているが、これは透析用水に必要な条件として透析液組成に影響を与えない、または毒性物質を含まないことを担保する指標として設定されたものである。また、透析液清浄化の指針としては生物学的汚染管理基準として生菌数とエンドトキシシン(ET)があり、臨床での微生物検査の実施が求められている。わが国ではET管理を中心に清浄化対策に取り組んできた経緯があり、生菌数基準を満たすための対策にフォーカスが集中し、化学的汚染基準は軽視されている傾向が見受けられる。
本来、逆浸透(RO)装置は化学物質の除去が重要な役目であり、RO膜の構造及び製造方法などから生菌・ETは完全に取り除くことはできない。そのために清浄性を担保するのがET捕捉フィルター(ETRF)であり、化学的汚染基準を担保するのは透析用水製造装置の標準的性能に係っている。また、近年ではRO水を再度、RO膜処理する2段RO膜処理システムが開発されている。このシステムは、電解質、有機物などの除去性能が更に向上しているため高い水準のRO水を得ることができる。
本セミナーでは、透析用水の水質を担保するための透析用水製造装置に求められる性能と現状の課題を考察し、透析用水製造に特化した設計と機能を有するシステムを紹介する。
学術共催セミナー2
呼吸器管理の“働き方改革”と“タスクシフト”って?
会 場:第3会場
日 時:1月15日(日) 9:30~10:30
座 長:神谷 敏之(医療法人徳洲会 南部徳洲会病院)
講 師:西嶋 正樹(日本光電工業株式会社 九州支店ソリューション営業部)
昨年度、医師の働き方改革に伴い、臨床工学技士へのタスクシフティングそしてシェアリングが法制化され、「臨床工学技士法」の一部改正・業務範囲が追加され、臨床工学技士に許可される行為や業務が新たに加わったことで “臨床工学技士の在り方” が大きく変化しています。
今回のメインテーマ「医工懸命」にもあるように、臨床工学技士にとっても“働き方改革”や“タスクシフト”が必要とされています。
近年の人工呼吸器は、様々な機能や特徴を持ったものも増え、大きく進化している。
それら機能や特徴を活用することで、より安全で業務効率良い人工呼吸管理に繋げられることが期待されます。
業務範囲や業務量が増える臨床工学技士の“働き方改革”や“タスクシフト”に少しでも役立ててもらえたら・・・と考え、我々メーカ―の立場から「人工呼吸器の機能や特徴を活かした人工呼吸器管理について」述べさせていただきます。
学術共催セミナー3
医療におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)
会 場:第4会場
日 時:1月15日(日) 9:30~10:30
座 長:矢島 真知子(琉球大学病院)
演題1:心臓植込みデバイスフォローアップとDX
講 師:前川 正樹(大浜第一病院)
演題2:医療機器管理システムの活用
講 師:木下 慎之介(福岡市民病院)
演題1
我が国において心臓植込みデバイス手術は年間約7万件実施される。しかしながら心臓植込みデバイスにとって植込手術はその治療経過の開始に過ぎず、そこから始まるデバイスフォローアップによって患者に沿ったデバイスの設定調整を行い、不整脈イベントや心不全の兆候を検出し、患者の心リズムマネジメントを行うのがその治療の中心である。我々、臨床工学技士は生命維持装置の操作・保守管理を業とする者として心臓植込みデバイス業務を担当するが、長期間に渡るフォローアップ業務対象患者が増加している事から、業務の効率化や見落とし防止などの安全対策が急務である。そのような状況の中、医療においてもデジタルトランスフォーメーション(DX)が進んでいるが、心臓植込みデバイスフォローアップ業務はDXの格好の対象業務であると考えられる。特にリモートモニタリングについて医療情報のDXについて皆さんと情報交換させていただきたいと考えている。
演題2
2007年4月に厚生労働省から改正医療法「医療機器に係る安全管理のための体制確保に係る運用上の留意点について」が発出され、医療機器を安全に使用するための指針として4項目のことが医療機関に義務付けられ、これらの容に沿って医療機器を管理することが必要となった。
機器管理システム導入以前の院内の機器管理は、フリーソフトの機器管理システムでバーコードによる機器の貸出管理は行なっていたものの、点検時期や点検表の管理、修理記録、機器情報などの管理、記録などの管理はパソコンのExcelや紙媒体などとバラバラに行なっている状態であった。
当院では2013年より株式会社 NEXIS社製の医療機器管理システム SAVE-KIKIを導入し運用を行なっている。
機器管理システムを導入するまで、導入してから現在の運用に至るまでの過程や実際の 使用感、問題点、今後の展望などを述べさせていただき、少しでも各施設の機器管理シス テム運用の参考になればと考える。
シンポジウム1
聞いてみよう! 隣の集中治療室専従臨床工学技士
会 場:第1会場
日 時:1月14日(土) 15:30~16:30
座 長:玉城 智(沖縄県立南部医療センター)
二木 亜季(佐賀県医療センター好生館)
演 者:山下 大輔(熊本大学病院)
神谷 敏之(沖縄南部徳洲会病院)
宮國 克秀(友愛医療センター)
下田 峻椰(長崎大学病院)
コロナ禍の昨今、ECMOの存在に関連し、集中治療における臨床工学技士の役割も紹介されるなど、一般の方からの臨床工学技士の認知は徐々に上がってきている雰囲気を肌で感じる。
またタイミングを同じくし、2020年度には「認定集中治療関連臨床工学技士」、今年度より日本集中治療医学会より「集中治療専門臨床工学技士制度」も開始され、キャリアップの道程も整備されてきている。集中治療室で業務を行うことは臨床工学技士にとっては常日頃ではあるが、専従に近い配置となると、まだまだ浸透できているとは言い難い。
本企画では、実際に集中治療室で専従に近い形で勤務する方々より、現状紹介や必要とされるスキルのご提示、問題点、展望などをご報告いただき、今後、集中治療室へのさらなる介入、専従導入などを考えている施設の参考となるような意見交換を行えるセッションとしたい。
シンポジウム2
心臓カテーテル室におけるタスクシフト・シェア
会 場:第1会場
日 時:1月14日(土) 16:30~17:30
座 長:森田 晃平(佐世保中央病院)
東舟道 志乃(琉球大学病院)
演 者:仲盛 智之(友愛医療センター)
江村 寛之(鹿児島大学病院)
大石 尚広(那覇市立病院)
中原 三佐誉(長崎大学病院)
2024年4月に「医師の働き方改革」が導入されるにあたり、その対策のひとつに臨床工学技士によるタスクシフト/シェアーが推進されている。各施設で心臓カテーテル室における働き方は、カテ室の規模やスタッフの人数、対応する患者数や対象症例によって様々である中で、タスクシフト/シェアーをどのように進めていくべきか試行錯誤している声が多く聞かれる。
2021年に日本心血管インターベンション治療学会が行った全国実態調査によると、時間外緊急カテーテルに参加している人数の中央値は4名ですが、うち医師1名の施設は全体の23%で、コメディカルが清潔野で助手業務を行っている実態が明らかにもなっている。
そこで、このシンポジウムでは、心臓カテーテル室におけるタスクシフト/シェアーについて4施設における現状や取り組み方法、問題点などを共有してディスカッションし、タスクシフト/シェアーをスムーズに、また、それぞれの施設に合わせて実施するにあたってのヒントが得られるセッションにしたいと思います。
ワークショップ1
一緒に考えよう若手の生きる道!(Yボード企画)
会 場:第4会場
日 時:1月15日(日) 10:30~11:30
座 長:濱口 真和(熊本赤十字病院)
大塚 千明(琉球大学病院)
コメンテーター:樫本 文平(長崎みなとメディカルセンター)
永瀬 啓一朗(熊本泌尿器科病院)
パネリスト:渡辺 裕貴(福岡和白病院)
久保 秋桜水(延岡クリニック)
千々岩 俊祐(佐賀市立富士大和温泉病院)
日臨工会員数の約7割を占めるヤング世代の積極的な学会参加が必要であると考えられる現在。日臨工を退会する若手も6割と多い数字であることに危機感を覚えています。その退会者を食い止めるべく、九州・沖縄各県のY・ボード担当者が力を注がなければならないと思っています。そこで、若手の悩みや立ちふさがっていると思われる壁にどのように立ち向かい、壁を崩し、次への1歩を踏み出すことが出来るように、悩みを抱えた若手世代に希望を持っていただきたいと思います。九州・沖縄各県会員にアンケート調査を行い、結果についてパネリストを含めてディスカッションを行い、新たな知見を生み出せればと思っております。
そして、アンケート結果をもとに九州・沖縄各県で活動していけるような企画等を考案して行きたいと考えています。若手のために若手が動くことは大事なことであり、タスクシフト・シェアの開始により臨床工学技士の第2章へどのように向かっていくのか、その点も含めて未来ある若手臨床工学技士が希望を持てるセッションにしたいと考えています。
ワークショップ2
今回の発表の反省点を次に活かす! ~スライド作成とプレゼンスキルのヒント~
会 場:第4会場
日 時:1月15日(日) 11:30~12:30
座 長:玉城 智(沖縄県立南部医療センター・こども医療センター)
大盛 宏樹(野尻中央病院)
講 師:後藤 健宏(三重大学医学部附属病院 臨床工学部)
屋良 收人(沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 看護部)
臨床工学技士は「いのちのエンジニア」として医療機器の操作、管理等、実務のみならず、医療機器を通じた他職種への説明会、勉強会などプレゼンテーションを行う機会が多いことは、実際に勤務する技士の皆様は実感するものと思われる。また今回のような学会発表の機会も数あるものと思われる。
しかしながら、プレゼンテーションスキルの習得は系統立てて学ぶ機会のないまま、トライ&エラーを繰り返しながら本番を迎え、反省点を感じながら、また次の発表の依頼が来る。
本企画は、勉強会やプレゼンテーションを数多くこなしてこられた先生方に、改めて資料の作成方法から、本番でのスピーチのコツや心得などをご提示頂き、何か一つでもヒントを持ち帰り、次の院内勉強会、学会発表等に活用できることを目的としたセッションとしたい。